あさき この子の七つのお祝いに歌词


2024-11-17 05:02

子守唄
「この子の稚き ててが握る紅差し指は禍福よ」

貴方の遺愛のぼんぼり粛然と
灯点して暗夜に濡つ
私と子と交錯する雨音に心願
「散華と散り敷く涙も枯れた」

あれから幾年 貴方が残したちぃさぃ幸せ
髪締め乍ら 夜な夜なこの子の為にと
子守の唄を 口遊み 徘徊る四肢

臥所の灯りに ゆらゆら寂寞
天井踊って 眼下に破れ
飛び散る手足が頭についたり
炯々 いひひ と耳奥舐める

毎朝毎晩 舌掻きむしって 騒擾

反り返る

もういいかい もういいかい と笑む
稚拙な吐息で炙られても
この子のために

うしろの正面だあれ

白黒キネマの廃工場から流れる煙がこの子を包む
右手 左手 足 首 心音
蛇口に隠れた少女が飛び出し小さなこの子の姿に閃光
少しずつ食む

この 笑みも 心の埋み火 一切 誰にもやらぬ!
貴方が残した小さな幸せ守るために 白鶴
「溢れる汚水に片身を浮かせて!恥ずべき奴だ!」
ゲラゲラ讃える狐の団居に背を向け
唇噛みちぎり ぼんぼり抱えて慟哭

ああ 静かに流れる音が
こだまして九十九折りなす
小さな貴方の手を引き 生きていく
ひらひら 椿の散華
同じ重さの掌にそっと頬よせ
火を灯す

言祝ぎとした 白雨 消え入る

白黒キネマの廃工場から流れる煙が眩き昇る
金切り声あげ大路に集まり跋扈に散乱 縺れて不揃い
刻々次第に影絵となりて
化粧いた眼球親子に向ける
奥歯をならしてしたたる夫婦が
咫尺で息吹く

懐手して足踏みする翁が
手遊びする媼に耳打ちをしている

狐「ほらほら はやく 息 とめなくっちゃあ!
背中にしがみついて 首刈るぞ」

点鬼簿くわえた白髪少女が神木登って爪立ち絶叫
咽び この子を 抱き締めた
狐の堵列は這いずり回って裂帛為い為いこの子を掴んだ
嗚咽
「嗚呼 この子だけは なくさぬように」

助けて!

女「耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ!」
狐「おまえが望んだ幸せ ひとつも ひとつも 叶わぬ」
髪の毛むしって嗚咽
少女はもんどりうって笑う
老夫婦「隠してしまえよ この子が七つになるまで」

女「ああああ貴方!鯉のぼりが空に昇って行くまで!お願い!」

「この子に幸せの風が吹きますように」

ああ 貴方の足跡灯し歩く小さな背中を見て祈った
この子の七つのお祝いに 小さな折り鶴ひとつ 水上から流す
幸せ込めて 貴方は風に舞う

明らみ差し込む光の尾が笑み
貴方の遺愛の灯りを消し去り
大路を掠めて悠然と舞い
神の木連なる閑居に消えた
狐の堵列は歪にくねって右顧左眄 互いに食い合う
時折八ノ字に笑みながら

おやすみよ すやすやと かわいいこ
あなたは 目を閉じて
ただすやすやと おねむりなさい

崩れた積み木の下で抱く狐色の子
逃げていく

神木から落つ 少女の顔ただれて泡吹き 金切り笑う
浅黄に染まった男と女は利休鼠の眼球こすって痙攣
劈く音して一瞥 先には
双眸を縫ったお狐様の行列が 股開く

もういいかい
まあだだよ
もういいかい
もういいよ

首転がる

「ああ この子が大きくなれば あなたと過ごした日々がまた」
瞳は刻んだ硝子の回想
空を泳ぐ鯉のぼりだけは知っていた

あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・
あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あー

あ!

この子

よく

見たら

あーあーあーあー

お人形

※漢字の読みと意味
・稚き(いとけなき)・=「幼い」の意の雅語的表現。
・紅差し指(べにさしゆび)・=くすりゆび
・遺愛(いあい)・=故人が生前・大事に(いつも)使っていた物。
・灯点して(ひともして)
・暗夜(あんや)・=「やみよ」の意の漢語的表現。「闇夜」とも書く。
・濡つ(そぼつ)・=ぬれる。(雨などが)しとしと降る。
・私と子と(しとしと)
・雨音(あまね)
・散華(さんげ)・=[法会で]読経しながら列を作って歩き、ハスの花びらに形どった紙を撒き散らすこと。
(戦死を美化した表現で)花と散ること。
・幾年(いくとせ)・=どれくらいの年数・多くの年数
・乍ら(ながら)・=そのままの状態を続ける(にある)ことを表す。
・徘徊る(たもとおる)・=(同じ所を)行ったり来たりする。うろつく。さまよう。
・口遊み(くちずさみ)・=ひとりごとのように詩歌などを吟ずること。ふと、心に浮かんだままにうたうこと。
・臥所(ふしど)・=「ねどこ」の雅語的表現
・寂寞(じゃくまく)・=「せきばく」の古語的表現。[物音が何もしない意]ものさびしくて、気持ちが満たされない様子。
・炯々(けいけい)・=目つきが鋭くて、いいかげんなごまかし(態度)を許さない様子。
・騒擾(そうじょう)・=騒いで、社会の秩序を乱すこと。
・心音(こどう)・確証なし(調べ中~
・炙られても(あぶられても)
・食む(はむ)・=「食べる」の雅語的表現
・埋み火(うずみび)・=灰に埋めた炭火。
・団居(まどい)・=円陣を作って一箇所に集まること。家族など親しい者が集まって楽しく過ごす事。団らん。
・慟哭(どうこく)・=声を立てて泣き悲しむこと。
・九十九(つづら)・=[九十九折り]・・・曲がりくねった坂道。
・言祝ぎ(ことほぎ)・=何かを祝って喜びの言葉を言う。
・眩めき(くるめき)・=[眩めく]・・・目が回る。目まいがする。
・掌(たなごころ)・=てのひら
・跋扈(ばっこ)・=(悪いものが)思うままに勢力をふるうこと。
・縺れて(もつれて)
・化粧いた(けわいた)・=「けわい」(現代では「気配」の字をあてて「けはい」という)から派生。(ある様子を作ることの意から)けしょう。みづくろい。おつくり。
・咫尺(しせき)・=近い距離。天皇などの前近くに進み出てお目にかかること。
・懐手(ふところで)・=両手を和服の懐に入れ・ること(たまま)。人に任せて自分は何もしない意にも用いられる。
・手遊び(てすさび)・=ひまを持て余した人が時間を潰すために、(趣味として)何かをすること。
・媼(おうな)・=「老女」の意の雅語的表現。
・点鬼簿(てんきぼ)・=「過去帳」の意の漢語的表現。
過去帳とは寺院で所属している壇家で亡くなった人の法名、俗名、死亡年月日、享年などが書かれてある帳簿である。
・爪立ち(つまだち)
・咽び(むせび)・=のどをつまらせたような声で泣く。むせる。
・堵列(とれつ)・=道端などに横に並んで立つこと。
・裂帛(れっぱく)・=絹を引き裂く時の音のように鋭いこと女性の悲鳴や叫び声のたとえ。
・為い為い(しいしい)・=その動作を何度も繰り返す意をあらわす。またその動作をしながら別の動作を行うこともあらわす。
・嗚咽(おえつ)・=声が詰まって出ない意。
・水上(みなかみ)
・掠めて(かすめて)・=もう、ほんの少しで触れるほど近づく。注意を他に向けさせておいて、盗む。
・閑居(かんきょ)・=閑静な住まい。世事に煩わされず、自分のしたい事をしてのんびりと暮らすこと。
・歪(いびつ)
・右顧左眄(うこさべん)・=世間の評判や思惑などを気にして、意見、態度を決めかねること。
・顔(かんばせ)・=顔かたち
・浅黄(あさぎ)・=淡い黄色
・利休鼠(りきゅうねずみ)・=緑色を帯びた鼠色
・劈く(つんざく)・=破り裂く。
・一瞥(いちべつ・=[さほど重視しないで]ちょっと見ること。
・双眸(そうぼう)・=「両方のひとみ」の漢語的表現。

  • 专辑:あさき~神曲
  • 歌手:あさき
  • 歌曲:この子の七つのお祝いに


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