きみは針.わたしは糸 きみが開けた穴をすり抜けていく きみは赤.わたしは白 きみが触れたら染まってしまう 抜け道のないセカイなどありえないよ 人任せにするのも生きるすべだろう わたしにしかできないことをしてあげるよ 窮屈な鉢.根詰まり寸前のこの街で きみは雲.わたしは雨 きみの中にいつも潜んでいる きみは布.わたしは石 包んでしまえば風にも飛ばされない 思惑どおりのセカイなどありえないよ 夢の中でさえ思うように走れない きみにしか歌えない歌を歌ってよ スペアのない世界にただ一つのその声で 抜け道
針と糸
2024-11-17 15:59